小学生では「算数」を習い、中学以降は「数学」を習います。
これは義務教育の過程で定められていて誰もが通る道なのは言うまでもありません。
しかし、なぜ小学生で算数を学び、中学から数学を学ぶのか考えたことはありますか?

算数と数学の違いは「求めるものの違い」
結論から言います。
算数と数学の違いは「求めるものの違い」です。
前者の算数は「答えを求めるのが目的」です。
後者の数学は「答えを求めるまでの過程を学ぶのが目的」です。
小学生のころ、「つるかめ算」や「仕事算」、「ニュートン算」などを学びませんでしたか?
上記は中学受験をした人なら非常になじみ深いでしょう。
(当時小学校6年でいきなり中学受験を受けさせられ、偏差値35程度の自分にはさっぱりなものでした)
そうでなくても小学校1年のときに、1桁の足し算をする際に指を使ったのは誰でもあるでしょう。
そうです。
算数は全て「問題の答えを出すために『手段』を用いて正しく答えを出すこと」を目的としているのです。
そのために、「なぜその方法を用いるのか」や「なぜその方法で正しく答えが出せるのか」は学びません。
それ以前にその手段が正しいことを証明するための知識前提が「算数」だからです。
対して、数学は「問題の答えを出すのが目的だけでなく、『正しく答えを導き出す過程』を目的」としています。
試験で問題に対して、いきなり答えを出すだけでは減点を食らった人は多いでしょう。
そうなのです。
ただ答えを出すだけなら算数の領域です。
数学では、順序だって式を立て、その式を使う理由(定義など)を説明し、答えを出さないと正解とはいえないのです。
背理法や仮定法などが良い例でしょう。
①A=Bであることを前提とする
②A=Bが成り立つ場合、A=Cも成り立つ
③しかし、その場合は反例Dが存在する
④よってA=Bの前提条件は成立しない
なんて具合で順序だって説明します。
いきなり、「A=Bは成立しない」とだけ書いても試験では0点です。
算数と数学の最たる違いの例は「1+1=2」!
算数なら小学校1年、もしくは幼稚園で「1+1=2」を学ぶでしょう。
そしてそれ以上は疑問の余地もなく使い続けるでしょう。
これは算数の領域では当然であり、小学生のうちに深く追及することは絶対にありません。
しかし、数学の領域では違います。
もちろん、いちいち加法の証明をして問題を解くことはないでしょう。
これは不変の定義、前提条件として使うことが認められているからです。
これを証明したところで当たり前であり、そもそも成立しないなら数学分野全てが崩れるからです。
数学の分野ではこの「1+1=2」を証明することも1つの分野です。
余談ではありますが、この加法の証明は「ペアノの公理」というものを使います。
(「公理と定理の違いって何?」と疑問を持った方、良い視点です。その興味・関心が大切ですよ。違いは「公理は証明の必要がない前提条件として認めるもの(いわゆる根幹。これが崩れると繋がる数学技術が崩壊するもの)」、「定理は公理を元に新たに生み出された数学技術(必要(適用対象)に応じて証明が求められる)」ものです)
証明自体はそこまで長くありませんが、簡単に書くと以下の手法で証明します。
①「1」が自然数であること
②「1」がある集合体に属すること
③その集合体に属する数について、次に続く数は1つのみであること
④その集合に属する数1つがある性質をもつ場合、その集合全ての数に対してその性質が適用される
といった感じでしょうか。
抜けがあるのはご容赦ください。
まあ自分は大学院でも数学を学んでいましたが、今となってはさっぱりです。
言いたいことは、「1+1=2」に代表されるように
算数では「単純に答えを求める(正しく答えが出せれば手段は問わない)」
数学では「その答えの過程を証明しつつ、正しく答えを導出する(正しい過程がない答えは答えとして認めない)」
ということです。
まとめ
「数学って難しい」、「2次関数とかベクトル、三角関数とか今後一生使わないでしょ」と思う人は多いはずです。
自分の周囲でも学生時代、数学が嫌で文系を選んだ友人は多いです。
確かに、数学は難しいです。
そして日常生活で、仕事以外でその知識を使うことはほぼ皆無でしょう。
それは確かに正しいです。
しかし「日常生活で使うもの」は概ね数学や科学、物理など様々な知識の結晶体です。
家にしても測量技術や耐久技術、自動車にしてもエネルギー効率(燃費)などの技術の塊です。
自分が認知していないだけで、その恩恵をあずかっているのです。
例えば今この記事を見ているあなた。
PCやスマホを使用して、ネットワークで閲覧しているでしょう。
そのPCやスマホ、インターネットはまさに技術の塊です。
数学などの叡智がなければこの記事を見ることは叶わなかったはずです。
あなた自身がその知識を使わなくても、誰かが知識を集合させて発明した技術の恩恵があるからこそ今があるのです。
今更数学を学べとは言いませんが、是非「数学」というものがどのようなものかは理系技術者の身としては知っていただきたいです。