老後の資金として最も基礎であり、基本となるのが「国民年金」。
働いていれば自ずと給与から天引きされ、支払った期間に応じてもらえるものです。
元々は基本定年が60歳で、定年後の60歳からもらえるものでしたが、現在は5歳引き上げられて「65歳」が支給開始年齢です。
早くもらうこともできますが、その場合は支給額が減らされるものとなっています。
今回は簡単なものではありますが、「入口の床モデリング」をします。
なぜ年金受給開始年齢が65歳になった?
従来は60歳から受給開始でしたが、2000年(平成12年)の法律改正により、受給開始年齢が引き上げられました。
具体的には一律一気に引き上げではなく、生年月日に応じての引き上げになります。
引き上げられた背景には以下の4つの大きな要因があります。
①高齢化と人口構造の変化
既にニュースでは何度も報じられている通り、男女ともに高齢化(男性81.09歳、女性87.14歳(2022年統計)で男女ともに平均寿命は81歳以上)の社会です。
一方で、新生児の出生数は2025年で初めて70万人を割り込み、「高齢者の数が増加する一方で、子どもの数が減少=将来的な労働人口の減少=納税者の数が減少=税金減少」という構造になりました。
人口減少と少子化により、年金保険料を支払う現役世代が減り、年金を受け取る高齢者が増えたため、60歳からの支給を維持できなくなったのが最も大きな理由です。
②平均寿命の伸長
これは上記にも包括されますが、平均寿命が延び、65歳以降の余命が長くなったことで、年金支給期間が長期化(年金の負担増)しました。
長生きすればするほど、年金支給総額が増えて、一方で年金基金徴収額が減ればいずれ枯渇してしまいます。
③雇用の確保(定年引き上げ)
会社で60歳で定年を迎えた後、65歳まで年金を受けとれないことになると「5年間は無収入期間」となります。
これを回避するため、企業に65歳までの雇用確保(定年引き上げ、継続雇用制度)が義務付けられました。
ただし、完全な義務ではなく、努力目標にとどまり、60歳定年で退職する人ももちろんいます。
④財政の安定化
65歳まで労働させれば、当然ですが国民年金だけでなく65歳まで所得税などを徴収できます。
これも年金制度を維持するため、受給開始年齢引き上げと同時に定年伸長も同時に整備する必要がありました。
以上のように、国民年金制度の維持と、財政状況(徴税額)維持の2つの理由のために引き上げられました。

将来的に年金受給開始年齢が70歳に引き上げられる可能性はある?
ここからが本題です。
今でこそ65歳で受給開始(一部警察官などはまだですが、2030年ころには完全整備完了予定です)ですが、この後は70歳になるのでしょうか?
ここで「もし70歳に引き上げるならどのような整備が必要か」を考えてみます。
当然ですが、65歳に引き上げるのにもかなり時間を要したので、「はい法律成立。来年から引き上げね」というのはできません。
①制度移行に法律の内容の検討期間が必要
まず、国勢調査をもとに、年金受給対象者と労働人口(国民年金収税人口数)を調べる必要があります。
もちろん、現時点での数値だけでなく、「法律の施行時にはこれだけ変わっているだろう」と推計も出さないといけません。
これだけでもかなりの時間が必要です。
さらに国会に法案の審議をかけて成立させる必要があります。
もちろん、法案反対の議員も沢山いるでしょうし、国民に納得してもらわなければ議員選挙で党の衰退も招くのでかなり慎重になります。
どう低く見積もっても、法案提出まで5年程度では済まないでしょう。
②仮に法律が成立したとしても、施行・整備まで時間がかかる
現在の65歳受給開始も、一般民間企業に浸透するのに20年、全労働者まで浸透まで30年もかかります。
仮に成立しても「30年の月日が必要」ということになります。
それだけ、この年金制度の整備には時間が必要になるということです。
結論:可能性は十分あるが、実際の引き上げはまだまだ先になる
以上のことから、法案検討開始から、実際の施行までは「35年~40年」はかかるとみて良いです。
今から検討開始しても実際に制度移行するのは早くても2060年以降になります。
なので、令和生まれの子どもの人はともかく、平成・昭和生まれの人なら「年金がもらえるのは70歳になるかも」は心配する必要はないでしょう。
まして、いきなり10年も引き上げて「75歳から」なんてことは絶対にないと思います。
今回のまとめ
現時点で働いている人なら、年金受給開始は「65歳」で間違いないでしょう。
ただし、問題点がないというわけではありません。
巷でニュースにもされていますが、受給額が物価高に追いついていない=実質手取りは目減りというのが現状です。
もし、消費税増税などがあれば、基礎の1階の国民年金+2階部分の厚生年金(共済年金)だけでは老後は厳しいでしょう。
さらに、ローンが残っていれば2階建てだけでは絶対に暮らせません。
今のうちに貯蓄や3階建て(確定拠出型年金)や4階建て(年金保険)なども検討するのが良いと思います。

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